竹澤 健介 Kensuke Takezawa

2008年北京オリンピック 5000m・10000m日本代表

子どもの可能性は無限大。その可能性を信じ、広げてあげることが大人の役割だと考えています。

私は、兵庫県姫路市に生まれ、幼少期を過ごしました。幼い頃に、喘息を患っていた事から、小学生の頃は水泳を習っていました。強化コースに在籍していたので、週に5日みっちり1時間半の練習があり、家に帰るともうくたくたに疲れてご飯を食べながらうとうとして眠ってしまうこともよくありました。夜9時には床に就いていたので、9時間以上は眠っていたと思います。中学から陸上競技を始めましたが、幼い頃に身についた長時間睡眠や練習後の昼寝の習慣は大人になるまで変わりませんでした。大学に入学してからは、他の学生よりも自分の睡眠時間が長く、昼寝も頻繁にする事に疑問を抱いたことがきっかけで、睡眠を研究しているゼミを選びました。学んでいく中で技能学習に昼寝が有効である事や、長時間睡眠が競技力の向上につながることが分かり、「そういうことだったのか、」と腑に落ちた事を覚えています。

私は大学在学中にオリンピックに出場することが出来ましたが、はじめから目指していたわけではありません。そのときそのときに合った目前の目標を達成していくことで少しずつオリンピック出場という結果に近づいていったように思います。 思春期の私の周りにはオリンピック選手はいませんでしたし、ましてや自分がオリンピック選手になるなど、夢にも思いませんでした。私はいたって普通の子どもだったように思います。

まだ将来のことと意識していない幼い頃から、大人が適切な環境を整えてくれたこと、そして何よりも思春期に私の可能性を信じ、接してくれる大人が周りにいたことが、私をオリンピックまで導いてくれたと考えています。 子どもは大人が考える以上の可能性を秘めています。

夢や目標を持つ子どもの可能性を信じ、広げてあげることが大人の役割であると考えます。本研究が子どもの可能性を広げる一助になる事を心から期待しています。

(2017年6月)

Profile

1986年10月11日生まれ。兵庫県姫路市出身。早稲田大学スポーツ科学部卒業。中学時代からトラックの中・長距離で活躍し、早稲田大学進学後、箱根駅伝に1年時から出場、2008年大会では3区で区間1位となり、区間賞を獲得。箱根駅伝往路優勝に貢献した。日本代表として2007年に世界陸上大阪大会で10000m、2008年北京オリンピックには5000m、10000mに出場した。2013年エスビー食品を経て7月に住友電工に入社。

チームを2014年元日のニューイヤー駅伝初出場に導く 以降、チームのエースとしてニューイヤー駅伝3年連続出場に貢献

【主な競技成績】

2007年 箱根駅伝 2区 区間賞
2008年 北京オリンピック5000m・10000m日本代表(早大4年時)

【自己記録】

5000m 13分19秒00(2007年)
10000m 27分45秒59(2007年)